2015-07-24 update
トロンボーンは神聖な楽器だった!?‐コラム18
“神の楽器トロンボーン”を初めて世俗音楽に使ってしまったアノ有名人とは!?
15世紀に誕生したと言われるトロンボーン。
昔は教会内での演奏を許された数少ない神聖な楽器だったって、ご存知ですか?
その昔、トロンボーンは自由に半音階を演奏できる唯一の金管楽器でした。
そのため聖歌隊の伴奏に重宝されたのです。
トロンボーンは教会で使われる神聖な楽器という位置付けだったのですね。
逆に、神の宿る楽器ということで、世俗音楽での使用は控えられました。
今のイメージとはぜんぜん違いますよね。
教会の外で使われるとしても、ミサ曲やレクイエム等の宗教的な曲でした。
その使われ方も、神や超自然的な力を表現する場合に限られていたのです。
トロンボーンという楽器自体が、そうした宗教的な力の象徴だったのですね。
Refektion-Spiegelung / trombone65(PhotoArt Laatzen)
クラシック音楽では、昔の曲にもトランペットやホルンはよく出てきます。
でもトロンボーンはロマン派あたりにならないとあまり出てこないんですよね。
楽器自体は昔からあったのに。
しかも半音階まで吹ける楽器だったのに。
変だなーと思っていたクラシックファンの方もいるのではないでしょうか?
「神聖な楽器とされていたから」
これがその理由なんです。
となると逆にですよ、
なぜ世俗的にも使われるようになったのか?
それも気になりませんか?
音楽の歴史上、この長年のタブーを遂に破ってしまう人が現れます。
貴族の娯楽だった交響曲にはじめてトロンボーンを使ってしまった人。
だれだと思いますか?
ベートーヴェンです。
その曲は「運命」。
さすがです。やっちゃいました。
こうしてベートーヴェン以降、ロマン派の作曲家たちによって、ようやく積極的に使われ始めたのです。
それでもトロンボーンの使用は神や死など、宗教的なシーンでの限定的な使われ方がしばらく続きました。
長年の文化に基づいたイメージや畏怖の念はなかなか根強かったようですね。
ちなみに、教会の楽器だったトロンボーンが世俗に普及していった要因の一つとして、教会の財政難によりトロンボーン奏者が解雇され、軍楽隊や大衆の歌劇場に流れていった、という経緯もあるそうです。
ジャズやスカで大活躍のトロンボーン。
今からは想像もできない歴史ですよね。
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