管楽器コラムWindColumn
マウスピースの選び方【金管楽器編】
1.そもそも自分に合ったマウスピースって何?
良く聴く言葉ですよね!「自分に合ったマウスピース」 でもよく考えてみるとこれって案外難しいですよね! まず最初にいったい自分に合ってるってどういうことなのかを考えてみましょう!
どんな音楽を演奏しますか?
トランペットやトロンボーンの場合吹奏楽やオーケストラなどのクラシック音楽とジャズやロック、スカなどのポピュラー音楽とでは求められる音色や音域、音のスピード感などが異なります。
ホルンの人は吹奏楽では曲によって1番から4番までいろいろなパートを吹くことが求められますが、オーケストラでは1、3番の高音担当と2、4番の低音担当で役割が固定されている場合が多いのではないでしょうか?
このように自分がどのような音楽を演奏したいのか、その音楽の中でどんな役割を果たしたいのかによって選ぶべきマウスピースが変わってきます。
自分にだけ合っていても意味がない?
マウスピースというものは楽器本体と自分を繋いでくれるとても大切なものです。
ここで重要なのは自分とマウスピースの関係性だけを考えるのではなく、自分とマウスピースと楽器本体の関係性を考えなくてはいけないという事です。
つまり「1-1」で書いたように自分が出したい音を出すのに必要なのは「自分に合ったマウスピース」ではなく「自分と楽器に合ったマウスピース」を選ぶことなのです。
簡単に言うとマウスピース単体を吹いたときの感覚ではなく、楽器本体とマウスピースを合わせて吹いたときの感覚のほうが大切だということですね。
マウスピースで重要なのはカップの大きさ(直径)だけじゃないんです!
よく「大きなマウスピースは良い音がする」「小さなマウスピースは高音が出しやすい」なんて言われたりしますよね!これって本当にそうなんでしょうか?
吹奏楽やオーケストラの演奏家は大きなマウスピースで輝かしい高音を出しますし、ポピュラーの演奏家の中には小さなマウスピースでもウットリするような音色の人もいます。
そのような人は努力と根性でなんとかしているのでしょうか?
もちろん日々の練習は必要ですがどうやらそれだけではなさそうですね。
大切なのはマウスピースと楽器本体を合わせた時の「抵抗感」
一般的に抵抗感が強い楽器を好む演奏家は大きめのマウスピースを使い、逆に抵抗が少ない楽器を好む演奏家は小さめのマウスピースを好む傾向があります。
重厚で伸びやかな音色が欲しいクラシック系の演奏家は主に音色やダイナミクスの問題で抵抗の強い楽器を好みます。しかしここに小さすぎるマウスピースを組み合わせると楽器とマウスピースを合わせたときの抵抗が強すぎて自由に楽器をコントロールすることが困難になります。
タイトで反応の良い軽めの抵抗感の楽器を好むポピュラー系の演奏家が小さめのマウスピースを好むのはその反対ですね。大きすぎるマウスピースを組み合わせてしまうと抵抗がなさすぎて楽器をコントロールするためのツボが掴みにくい上に息が入り過ぎて長時間の演奏が困難になってしまいます。
マウスピースの個性はカップの大きさだけでは決まらない。
ここまでマウスピースのカップの大きさに関して書いてきましたが、マウスピースの個性を決めるのはカップの大きさだけではありません。
カップの容量(深さ)、リムやカップの形状、スロートの大きさ、バックボアの形状など、マウスピースの個性を決める要素は様々です。
数あるマウスピースの中から自分とその楽器、好みの音色や音楽にうまくマッチするマウスピースを選ぶのはなかなか難しそうですね!
でも安心してください。言葉で理屈を説明すると上記のように長くなってしまいますが、実際にマウスピースを選ぶのはそれほど困難ではありません。
2.マウスピースはどうやって選べば良いの?
ズバリ実際に吹き比べて吹きやすいと感じたものを選ぶのが一番です。
ただし気をつけたい点がいくつかあります。
- 自分が良いと思える音色が出ているか?
- 極端に音程が悪くないか?
- 必要な音域または自分が今持っている音域が吹けるか?
- タンギングやスラーがスムーズに出来るか?
順番に説明していきましょう。
自分が良いと思える音色が出ているか?
初心者や中級者の方にはこれが一番怖いのではないでしょうか?
まだあまり上手に吹けない。これからもっといい音になりたい。まだまだ自分の音色に満足できないしマウスピースを変えたからっていきなり理想的な音なんて出せませんよね。リラックスしていつも使っている楽器本体でいつも通りのやり方でそれぞれのマウスピースを吹き比べてみてください。きっとなんとなくでも吹き心地が違ったり、音色が違ったりするはずです。まずは違いがわかるということが大切なのです。
ちょっとでもこれが良いかなって感じることが出来ればOKです!
音色のチェックの仕方は?
いつも通りにリラックスして長めの音を吹いてみましょう。
「真ん中のド(チューニングのド)」位の音から始めて無理せずに吹けるところまで上がったり下がったりして見ましょう。ひとつの音を吹くごとにしっかりとブレスをとりましょう。でも息を吸いすぎないように気をつけて!
音量は大きすぎず小さすぎずリラックスして良い音色が出せるように丁寧に吹きましょう。
極端に音程が悪くないか?
マウスピースを選ぶときには必ずチューニングメーターを持っていきましょう。持っていなければお店の人に言って借りてください。実際にそれぞれのマウスピースを吹いてみてどんな音程なのか計ってみましょう。
どうやって音程のチェックをしますか?
いくつかのスケールやアルペジオを吹いてみて極端に音程が悪くなければ大丈夫です!
ここで重要なのは「だいたい合ってればOK」という事です。管楽器の音程はピアノのチューニングのように絶対的に正確である必要はありません。アンサンブルの中で周りの音程に対して相対的に正しいか正しくないかのほうが重要です。
決してすべての音でチューニングメーターのど真ん中になるまでチャレンジしないでくださいね。バテてしまってマウスピースを選べなくなってしまいます。
必要な音域または自分が今持っている音域が吹けるか?
いくら音色と音程が良くても今まで吹けていた音域が出せなかったり、たまには出せていた音が全然出せそうになかったりする時には、そのマウスピースを買うかどうか冷静に考えてくださいね。
今後長く付き合うことになる大切な相棒です。無理して吹かないといけない場合は調子を崩してしまう原因になりますのでいくら音色と音程が良くても買わない方が良いかも知れません。
音域のチェックをする方法
判断する方法としては「真ん中のド(チューニングのド)」からスケールもしくはアルペジオで「上」に上がっていきましょう。いつも吹けている音まで上がったら一度吹くのをやめてからブレスをしっかりととって最後に吹いた音から今度は下のドまで降りてみましょう。
一番高い音を吹き直した時に音が出なかったり下がっていく時にアンブッシュアを極端に緩めないと音が出なくなったりする場合は注意が必要です。これは普段の練習の時から毎日チェックしておくと自分のコンディションをうまく掴めるのでおすすめです。
タンギングやスラーがスムーズに出来るか?どうやってチェックすればいいの?
基礎練習的なパターンでチェックするのも良いのですが、おすすめは今あなたが練習している曲を吹いてみることです。
ゆっくりした曲やテンポの速い曲など何曲か吹いてみると色々なパターンのタンギングやスラーが出てくるでしょう。自分に合ったマウスピース選びの目的は楽曲を上手に演奏することですので、最終的には今練習している楽曲をストレスなく思い通りに演奏できるかを確かめて見てくださいね!
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