フルートの選び方
2018-02-08 update
オーケストラ、吹奏楽、ジャズ、ソロ演奏など、さまざまなジャンルで目にすることの多いフルート。ふだん楽器にあまりなじみのない方でも、フルートは知っているという方は多いと思います。
親しみやすく柔らかな音色と、優雅な見た目が魅力で、大人になってから趣味で始める方も増えています。ジャズでは、サックスの奏者が曲によって持ち替えて吹くこともあります。
ご購入のポイント
手先が器用な国民性からなのか、他の楽器に比べて日本のメーカーがとても多いことが特徴にあげられます。素材は洋白や銀のものが一般的で、洋白<銀<金(プラチナ)と価格が上がっていきます。
価格は7万円くらいのものから、100万円を超える超高級品までさまざまですが、気軽に始めたいという方は10万円程度、はじめての1本でもある程度のものが欲しいという方には、フルート専門メーカーも選択肢に入る20~40万円程度からお考えいただくのがおすすめです。
経験者の方で長く音色を楽しめるようなフルートをお探しの方は、60万円以上のハンドメイドクラスを比較される方も多いです。
ほかの楽器もそうですが、フルートは特に定期的なメンテナンスが必要です。リペアのアフターサービスが整っているお店でのご購入をおすすめします。
横に長いため、小学生くらいの身体の小さい方には手が届かないことがあります。その場合には頭部管が曲がったU字頭部管のモデルをお試しください。
おすすめフルート
お手ごろ(10万円台)
ヤマハYFL-312、アズミAZ-Z2E、パールPF-525E
おすすめ頭部管銀製(20万円台)
ヤマハYFL-517、アルタスA907、サンキョウETUDE
ミヤザワAtelierPlusⅠBR、ムラマツEX
おすすめ管体銀製(30万円台)
ヤマハYFL-617、アルタスA1007
サンキョウSilversonic、ムラマツGX
おすすめ総銀製(50万円台)
ヤマハYFL-717、アルタスTS、サンキョウArtist
おすすめハンドメイド(60万円~)
ヤマハYFL-887D、アルタスA1207
サンキョウハンドメイドDT、ムラマツDS
主なメーカー
ヤマハ/YAMAHA |
アルタス/Altus |
サンキョウ/Sankyo |
ムラマツ/Muramatsu |
パール/Pearl |
ミヤザワ/Miyazawa |
ブランネン/Brannen |
アズミ/Azumi |
フルートまめ知識
素材について
フルートの素材には洋白(銅、ニッケル、亜鉛の合金)や銀をはじめ、金、プラチナ、グラナディラなどが使われています。それぞれ異なる音色を持っており、金製ではきらびやかな音色、木製では柔らかい音色など、さまざまな特徴があらわれます。
いろいろな考え方がありますが、一般的には銀製のものが「もっともフルートらしい」音色とされています。すべてが銀で作られた総銀製があこがれの的で人気ですが、お求めやすい価格になると、管体は銀製でキイなど細かい部分が洋白製のものや、頭部管だけが銀製でほかは洋白製、といった機種も各メーカーからラインナップされています。
また、同じ銀でも一般的なAg925ではなく、銀の純度がより高いAg950やAg958などを使用したり、管を厚くしたり薄くしたりして工夫をするメーカーもあります。
カバードキイか、リングキイか
フルートには、カバードキイ(ジャーマンスタイル)とリングキイ(フレンチスタイル)の2種類のキイスタイルがあります。リングキイは指先に響きを感じるため、細かいニュアンスが表現しやすいこと、自然と正しいフィンガリングに矯正されるなどのメリットがありますが、慣れないうちは穴をうまくふさぐことが難しいです。
日本では上級者の証のようなイメージもあり、憧れる方は多いですが、手の小さいお子さんや、フルートにまだ慣れていない方には少し大変かもしれません。『はじめての1本はカバードで』とすすめる経験者の方も多いです。
0.037mmを知覚する
シンプルな見た目をしているように見えるフルートですが、実は管楽器No.1,2を争うほど、精緻なつくりをしています。
たとえばトーンホール(音孔)を塞ぐキイには「タンポ」という、リコーダーでいう指の役割をする部品がついていますが、大きなトーンホールを全周きちんとふさぐためには、薄い紙を使ってタンポとのすき間を微調整する必要があります。このすき間がなくなるほど、楽器の本来の性能が発揮されます。
紙の薄さは一番薄くてなんと0.037mm!髪の毛の太さは0.06~0.1mmくらいですから、とても細かいことが分かると思います。
リペアマンや楽器製作をする方は、このわずかな狂いを指の感覚で判断し、調整を行っています。この精度の高さは、楽器の価格にも反映されていきます。
関連リンク
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